患者指導力がグンと身につくコーチング術!~絶対押さえたいキホンの質問6選~

ナースライター さき
ナースライター さき
患者指導力がグンと身につくコーチング術!~絶対押さえたいキホンの質問6選~

患者指導の際、「すぐに話がそれてしまう」「話が長くなってしまい業務が押して困る」という悩みはありませんか?


傾聴はできるだけ短時間で要点を聞き出し、行動変容に結びつけていくことが大切です。さらに患者さんにも“話を聞いてもらえた”という満足を得てもらえたら最高ですよね。


そんな指導に欠かせないコーチング技術を筆者の体験談とともにご紹介いたします。


1. コーチングとは?

コーチングとは、相手の本来もっている能力や強みを引き出し、目標実現や問題を解決するために主体的な行動を促すコミュニケーション技術です。


コーチングで目指すのは、患者さんが自分で考え、決めることです。傾聴や質問を行うことで意識してもらえるよう介入します。


2. 傾聴するときはここにフォーカス!

傾聴するときはここにフォーカス!

傾聴とは“聞く”ではなく“聴く”という漢字が使われています。その違いは、ただ聞くのではなく、患者さんを深く理解し、気持ちを汲み取り、共感する聴き方になります。


コーチングを実施する場合、通常業務を調整して時間を確保しておく必要があります。患者さんの話を途中で遮らないためにも、事前に周りのスタッフに「今から〇〇さんと△△について話をするので、ナースコールがあったら対応して欲しい」と目的を説明して協力をあおいでおくのもよい方法です。


まずはベッドサイドに腰かけて、ゆっくりとした雰囲気をつくります。そうすることで短い時間でも聴いてもらったという満足感を得ていただけます。


また、アイコンタクトを取り、相槌や頷きをして聴いていることを示します。次々話してくださる患者さんもいれば、考え込んだり言いよどんだりされる患者さんもいらっしゃいます。沈黙は大切な時間ですので、急かさずに待ちましょう。


ちなみに長く話されたら困るといって立ったまま話すのはNGです。


3. これを押さえれば完璧!6つの質問

これを押さえれば完璧!6つの質問

コーチングでは、聴くだけでなく質問も行います。情報を得たり、患者さんへ関心を示したり、意識を自分に向けて深く考えていただくことが目的です。患者さんに思うまま話していただくと、療養以外の事柄へと話がそれてしまうことがあるので、そうならないためにも問いかけます。


質問には6つの種類があります。これらを意識して使ってみましょう。


1) 閉じられた質問(クローズドクエスチョン)

限定質問とは、YESかNOや1、2、3のどれかを選択して答えていただく質問です。看護師は知りたい情報を端的に得ることができますが、患者さんは話したいことを自由に話しにくい形式の質問です。


2) 開かれた質問(オープンクエスチョン)

「あなたはどんなときにストレスを感じますか?」など、患者さんが自由に回答できる質問です。患者さんの意識を一瞬で自分自身の内側に向けさせ、深く考えていただくことができます。この質問によって、患者さんは自分の感情に気づいたり、アイディアがわいたりすることがあります。


3) 未来質問

「退院したらさっそくやってみたいことは何ですか?」など、1週間、半年、3年後などの未来について尋ねます。患者さんが未来のことを想像し、決断するのを助ける質問です。


4) 過去質問

「糖尿病と診断されたとき、どのような気持ちでしたか?」など過去のことについて質問します。


5) 否定質問

「なぜお薬を飲むのをやめてしまったのですか?」「なぜ受診をためらったのですか?」など、否定的な理由を尋ねる質問です。問い詰めるような聴き方をすると、患者さんを責められたような気分にさせるため注意が必要です。しかし、聞きにくいことをストレートに聴くことで、患者さんの問題の原因を知ることができます。


6) 肯定質問

「自宅でも運動を続けるためにどのような工夫ができますか?」など、未来のことを尋ねます。患者さんが答えてくれたゴールに向かうために何ができるかをご自身で考えていただきます。


看護師が「この方法をやってみてください」と提案するのではなく、患者さんが主体的に行動することを後押しします。


コーチング初心者は質問がパッと出てこないことがあります。慣れるまでは患者さんのベッドサイドに向かう前に情報収集し、あらかじめ質問を考えておくとよいでしょう。


4. 記録することで形になる患者さんの目標

記録することで形になる患者さんの目標

コーチングを行ったら必ず記録をしましょう。患者さんの発言をまとめ、傾聴の際の印象や患者さんの気づき、行動変容に結びつくような反応などを記録して、スタッフ間で共有します。


患者さんとの会話内容を記録する習慣がないことがあるかもしれません。しかし、記録しなければ会話しただけで終わることになります。記録に残すことでコーチングという行為が行動変容のための“看護”になると言っても過言ではありません。


5. まとめ

患者さんが上手に自己管理を行い、元気な姿を見せてくださるとうれしいですよね。質問を使って上手に聴くことで、患者さんの行動変容を促すことができます。


ぜひコーチングスキルを身に付けて、患者指導力に活かしてくださいね。


参考文献

柳澤厚生,鱸信子他:コーチングで保健指導が変わる! 医学書院.


~ライタープロフィール~

【さき】ナースLab認定ライター
1980年生まれ。看護師、保健師、糖尿病療養指導士。
糖尿病内科、透析室、保健師として特定健診指導を経験。生活習慣病分野を三次予防から一次予防まで、糖尿病のすべてのステージを逆行する形で関わる。その中で、患者さんのつむいだ人生ストーリーには人を癒すパワーがあることを実感。現在はママ業に専念しながら非常勤講師として看護教育に携わる。臨床のみならず、育児や教育において感じた“言葉の力”を信じて、女性が心豊かに生きるコツや看護学や患者教育法をわかりやすく解説した情報を発信している。

ブログ:https://ameblo.jp/hatahata-books/

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