1.毎月1回悩みの種の勤務表作り
昨今では時短勤務や、曜日指定勤務など多様な働き方が当たり前となりました。勤務表作りは一苦労です。ラダーごとのメンバーの組み合わせに配慮し、年休消化率も考慮しなくてはなりません。自分の休日を返上して作成することもあります。努力の結晶とも言える勤務表ですが、発表と同時に希望変更を言われてしまうこともあります。スタッフのモチベーションが上がってくれればそれでいいのだと言い聞かせ、作り笑顔を返します。そして帰宅後、なかなか終わらないわが子の宿題をみてあげながら、夜遅くまで自宅のパソコンで修正します。

2.常に見られているプレッシャー
挨拶一つで「師長、今日は機嫌悪そう」「目が笑ってない」など病棟が一瞬にして緊張に包まれるという経験はありませんか。いつも笑顔を心がけていますが、師長も同じ人間なので、わが子と喧嘩した時などは笑顔になれない時も。また、時々処置に入ると師長は失敗しないだろうとスタッフが覗きにくることもあります。人から見られていることがとにかく多いため、院内では常に気が抜けません。
3.病棟の隅々まで聞こえる地獄耳

師長は病棟に潜在している課題を洗い出し、改善策を打ち出すことも大きな役割です。そのため、パソコンで資料を作成したり、病棟ラウンドを行ったりすることも多いのですが、そんな時も遠くで話している内容に困っていることがないか、常に耳を傾けています。「なんで師長がこの話知っているの?」と驚くことも少なくないのでは。普段は業務中の私語は控えるように言っている師長も、おもしろい話が聞こえてくると、ついつい笑いそうになってしまうこともしばしばです。
4.時には医師からも怖がられる存在
師長は医師や他の部署と直接やりとりすることも多く、また院内での勤務年数も長いので研修医時代から知っている医師もいます。長年の付き合いから絶大な信頼を受けている反面、部署の責任者として発言しなくてはならないことも多いので怖がられてしまうこともあります。中には、エレベーターに師長が乗っていると都合よく電話をとるふりをして、階段で行ってしまう医師もいます。同じ医師が毎度同じ行動をとるので、こちらはお見通しなのですが。
5.上司と部下の板挟み
現場の責任者として決断を求められることも多く、時には現場の意見と食い違う場面もあります。双方の意見を聞き、調整しなければなりません。買って欲しいケア用品があっても、上司には費用対効果があるか迫られ難しい判断を迫られることも多く、上司にも部下にも愚痴をこぼしにくいため多くの師長は孤独を感じているはずです。私の場合はストレス発散に、個室のちょっと良いお店で他の師長や他部署の所属長と定期的に秘密の愚痴大会を開催しています。
6.並外れた傾聴力
患者さんからのクレーム、医師とのトラブル、スタッフの面談と常に誰かの話しを聞くのも師長の大きな役割となります。師長が最後の砦となる場合も多く、時には自分の今までの生い立ちや、これからのキャリアについて相談されることもあります。忍耐力が求められますが、「師長に話しを聞いてもらえてよかった」と言ってもらえることも多く、感謝をされると疲れも吹き飛びます。

7.部署やスタッフの成長が心の栄養
年上の部下やZ世代の新人看護師などさまざまな世代の意見をまとめながら、一致団結していかなければなりません。面談や指導を通して、一人ひとりの思いを聞いたり、日々奮闘するスタッフを間近で見たりしていると、思い入れも強くなります。スタッフの成長や成功を自分のことのように嬉しく感じます。スタッフが良い仕事をした夜は、美味しいご飯やお酒を愉しんでいる師長さんも多いのではないでしょうか。
まとめ
以上、師長のあるあるについて紹介しました。いつも怒ってばかりに見えても実はプレッシャーに押し潰されながら、常にスタッフのことを考えて働いている師長が多いはずです。師長が普段感じていることを少しでもイメージでき、身近な存在に感じていただけたら嬉しいです。
~ライタープロフィール~
【織田真理】ナースLab認定ライター
看護師21年目。看護師長7年目。感染管理認定看護師。2児の母。
外科、内科病棟等の勤務を経て、現在は精神科病院勤務。病院勤務の傍ら、ダウン症の方が働くカフェや、老人施設に非常勤職員として奮闘中。
ナースLabホームページ