仕事編
1.簡単には通れないフットスイッチの扉
左利きにとって通路の右側に設置された改札機が通過しにくいように、病院にあるドアを開閉するフットスイッチも難敵の一つ。左足でスイッチを押して勢いあまって一回転するという恥ずかしい思いをした経験があります。
2.手がつりそうになりながら書く検尿コップ

文字が擦れて伸びないように、紙を傾けたり速乾性のペンを使ったり努力している左利き。検尿カップや点滴ボトルのラベルに文字を書く時はより一層気合が入ります。ラベルはインクが乾きにくいので、左手につかないようにつりそうになりながら一生懸命書いています。
3.メジャーのメモリはすぐには読めない
メジャーは左利きの人が使うとメモリが逆さまになります。そのため、測定値を見る時は頭を下に向けないと読めません。測定時は変な体勢になるので患者さんと気まずい空気が流れます。
4.鉗子のクランプは外しにくい
持ち手を前に押し出すことで簡単にクランプ解除ができる鉗子。でも左手で鉗子を使うと持ち手を内側にひかないとクランプ解除ができないのでとても使いにくいです。
5.手術室看護師になれないと言われたことがある
手術室での機械出しは医師の右側から行うため、左利きでは難しいと判断されることがあります。左利きだからと活躍の場を狭められるのは寂しいです。
6.右手で教わった看護技術も左手に変換できる
指導者が右利きでも問題ありません。そのまま右で習得するか、左のやり方に変換することが可能です。でも右利きの人が、左利きだとどのような動作になるか一緒に寄り添って考えてくれる時はとても嬉しいです。
7.無意識に右利き社会に順応
医療物品やワゴンの位置は右利きの人が使いやすい配置です。そのため、右手で処置することが当たり前に……。気づいたら「右手でやっていた」という看護ケアがよくあります。
8.左利きはコミュニケーションツール
「左利きは天才が多い」や「何をするのも左なのか」と左利きというだけで、話題はどんどん広がります。お陰で初対面の患者さんと会話に困ったことはありません。また左利きの患者さんと出会った時は、何だかすごく親近感が湧きます。

プライベート編
9.左端の席は左利き専用
みんなで食事をするときは、食事中に手があたらないように左隣に誰も座れない席が定位置。身体が勝手に動いてその席に座っていることがほとんどです。親しい間柄だと、自然とその席が空いているようになります。
10.注ぎにくい、食べづらいは当たり前

スープを注ぐレドールって右利き用って知っていましたか?左手で持つと注ぎ口が反対側を向くので注ぎにくいです。お寿司も右手で取りやすいように左向きで提供されます。左利きにとって外食でのプチストレスは意外と多いんですよ。
まとめ
左利き看護師が医療現場ではどのように過ごしているか知っていただけたでしょうか?右利きでは感じることのない様々なエピソードに興味を持ってもらえていたら幸いです。左利きだと生活に困ることもたくさんありますが、慣れていけば問題なく過ごすことができます。
世の中の左利きさん。これからも少数派らしく「使いづらいな」と小言を言いながら楽しく過ごしていきましょう。
ライタープロフィール
【西村明香(にしむら・あすか)】ナースLab認定ライター
看護師・保健師。大学を卒業後、総合病院で勤務し、呼吸器内科・婦人科・小児科・訪問看護を経験。現在は、自身の治療のため休職中。今後は自分を大切にしながら仕事と治療の両立を目指している。モットーは「私と関わる全ての人、そして私自身も笑って過ごせるような看護をすること」
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