1.ソバーキュリアスって何?
ソバーキュリアスとは、英語のSober(しらふ)とCurious(好奇心が強い)を組み合わせた造語で、お酒を飲める人があえてお酒を飲まない生活をすることをいいます。2019年頃に欧米の若者を中心に広がり始め、コロナ禍や健康志向の高まりからZ世代を中心に日本でも注目され始めました。
お酒を飲まないなら、私たちが患者さんに指導することの多い禁酒・断酒と同じと思うかもしれませんが少し違います。同じお酒を飲む生活をやめることでも、ソバーキュリアスは、健康のためや生活の質の向上など、前向きな気持ちで飲酒しないことを選ぶ。「しらふこそクール!」という考え方です。我慢して無理にお酒をやめる禁酒・断酒との違いはそこにあります。
2.ソバーキュリアスが看護師におすすめの理由
日本ではまだまだ認知度の低いソバーキュリアス。看護師仲間10人に聞いてみましたが、知っている人は1人もいませんでした。しかし、ソバーキュリアスを紹介するとほとんどの人が「やってみたい」と好印象。では、どのような点が看護師におすすめなのか見ていきましょう。
頭スッキリ! 業務効率が上がる

ある日、晩酌を毎日していた先輩看護師が「何日かお酒やめたらよく眠れるし、スッキリしている」と嬉しそうに話をしていることがありました。アルコールは寝付くまでの時間を短縮させますが、たとえ少量でも、睡眠の後半部分を障害すると厚生労働省も発表しています。先輩看護師もお酒をやめたことで、睡眠の質がきっと良くなったのでしょう。体調が良いと的確な判断ができ、業務効率は上がります。それは看護の質を向上させ、医療事故の防止にもつながります。ソバ―キュリアスは、仕事へのメリットがたくさんあるといえます。
お酒時間を別の時間に

看護師は家に帰ってからも大忙し。日々の勉強は欠かせませんし、家事や育児の時間も必要です。少しでも時間が惜しい日々の中で、お酒の時間がなくなったら他にできることが増えませんか? お風呂にゆっくり入ったり、趣味の時間にあてたり、早めに寝たり……。今までやりたくても時間がなくてできなかったことが少しでもできるようになると、ストレス発散にもなりますよね。お酒を飲んでいた時間を有効活用すると、毎日の生活をより色鮮やかにすることができます。
健康への第一歩になる

ご存じの通り、お酒の飲み過ぎはさまざまな臓器に影響を与えるといわれています。では、患者さんに生活指導をする皆さんは、ストレスからお酒を飲み過ぎていませんか? 毎年の健康診断で肝臓の数値を見てドキッとした経験があるのではないでしょうか。指導する立場の看護師が、お酒で体調を崩しては説得力に欠けますよね。そうでなくても、夜勤やオンコールなど不規則な生活に加えて、未知の感染症と隣り合わせの労働環境は体調不良を引き起こしやすいです。ソバ―キュリアスは、そんな看護師のヘルスケアをお手伝いします。飲酒習慣の改善で丈夫な身体づくりへ一歩前進できますよ。
3.あえてお酒を飲まない生活の始め方
お酒を飲む習慣を変えたいけれど、そう簡単には変えられない。そんなあなたには、ソバーキュリアスはおすすめです。ソバーキュリアスの考え方は、積極的に飲酒しない生活を選ぶことなので、最初から完全にお酒をやめる必要はありません。まずは休肝日を作ってみたり、いつものお酒をアルコール濃度の低いものに変更してみたり、無理なくできる範囲で始めましょう。
最近は、ノンアルコール飲料も増えていますし、微アルコール飲料を提供してくれる飲食店もあるようです。新しい飲み物やお店を探すのも楽しみの一つになるかもしれません。少しずつ自分に合ったお酒との付き合い方を見つけていきましょう。
まとめ
ソバーキュリアスというライフスタイルは、知ってもらえましたか? 多様性の時代に合わせて、お酒の飲み方も変わってきています。お酒好きが多く、健康にも敏感な看護師なら惹かれるところがあったのではないでしょうか。楽しかった飲み会を思い浮かべると、あえてお酒を飲まない生活は想像できないかもしれません。でも、しらふの世界は身体にも生活にもいいことがたくさんです。お酒との付き合い方で悩んでいるならぜひ試してみてください。きっとあなたにいい影響を与えてくれるはずです。
お酒の席は楽しいものです。だからこそ上手に付き合い、 新しいあなたの時間で、プライベートも充実させてください。
ライタープロフィール
【西村明香(にしむら・あすか)】ナースLab認定ライター
看護師・保健師。大学を卒業後、総合病院で勤務し、呼吸器内科・婦人科・小児科・訪問看護を経験。現在は、自身の治療のため休職中。今後は自分を大切にしながら仕事と治療の両立を目指している。モットーは「私と関わる全ての人、そして私自身も笑って過ごせるような看護をすること」
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