看護師の仕事はとてもハードです。最近は、育児休業を取得して復帰する看護師が増えてきましたが、仕事と育児の両立に悩む人は少なくありません。そんなママナースにとって、起こりやすいのが家計のトラブルです。子どもが生まれると、思っている以上に出費がかさみます。にも関わらず、残業や夜勤を減らせば収入は減ってしまう。忙しさのストレスから、つい浪費してしまうケースも。上手に家計を管理し、仕事も家庭も充実したものにするために、トラブルの原因や対策を考えていきましょう。
1:予想以上の出費
私は2児の母で、いずれも2人が1歳になる前から復職しました。もともと貯金が苦手なタイプ。子どもが生まれたら自由に遊ぶ時間はないので、自然にお金が貯まると思っていましたが、現実はそう甘くありませんでした。共働きだったのに、働いても働いても貯金は増えませんでした。なぜか。子どもにかかるお金は、意外にも多いのです。
まずは出産に関わる費用。出産前には、ベビーベッドやベビーバス、肌着、抱っこひもなどを準備し、出産後の生活では、オムツやミルク、離乳食などを買うために日常的にお金がかかります。何となく必要そうな物をその都度買い続けていると、いつの間にか貯金が減っている、なんてことが起きやすいのです。
次に保育料。子どもを保育園に預けて働く場合、認可保育園だと保育料は世帯の所得と年齢に応じた金額になり、収入が安定している世帯では毎月8万~10万円を支払っているという話も聞きます。幼児教育・保育料無償化は、3~5歳が対象のため、小さい子どもを育てる家庭の負担は大きいと言えます。
残業などの手当ても、家計を左右します。子どもが小さいうちは、頻繁に残業や夜勤ができず、手当ては減少します。その分、手取り収入も少なくなってしまので、結果的に自由に使えるお金は少なくなってしまいます。子どもの体調不良で欠勤が続いた時は、給料が8万円という時もありました。子育てしながら働くことの厳しさを感じますよね。
2:多忙の弊害
出産後にいざ復職しても、家庭と仕事の両立に悩み、退職や転職を選択する方は少なくありません。私もその一人。育児介護休業法の制度を知らなかったために、月80時間を超える残業をこなすことがありました。結局ストレスだけが増え、夜泣きによる睡眠不足や過労で抑うつになり、1カ月休職してしまいました。ここでは、忙しさやストレスにより、支出が増えてしまう例を紹介したいと思います。
1:支出を把握できない
育児、家事、仕事に追われていると、家計簿をつける時間や気持ちの余裕はありません。その結果、何にどのくらいのお金を使ったのか把握することが難しくなってしまいます。家計を見直したいと思っても、何を見直せばいいのか分からないという悪循環に陥ります。 細々とした出費やクレジットカードでの支払いも、支出の管理を難しくする要因の一つかもしれません。
2:時間短縮のための出費
忙しく、疲れている時に食事を作るのは手間ですよね。冷凍食品や総菜で済ませたり、外食に行く機会が増えたりすれば出費はかさみます。家事を楽にしようと、食洗機やお掃除ロボットを買うなど、どんどん便利な物が欲しくなってくるかもしれません。
3:ストレスによる支出
看護の仕事だけでもハードなのに、家事や育児も加わればストレスは計り知れません。過度のストレスは判断力を鈍らせてしまいます。そのため、ストレスと支出には関連性があると考えています。経験がある人もいると思いますが、夜勤明けの買い物は要注意です。一回ごとが少額でも、積もり積もれば大きな金額となってしまいます。周りの話を聞いていても、忙しい部署で働いている人ほど支出は多くなってしまう傾向があるように感じます。 収入や貯金を増やしたいからと安易に夜勤や残業を増やしたりすると、ストレスがかかるどころか支出も増やす状況をつくることになっているのです。
3:何のために働くの?
子どもが生まれ、支出が増えるのは仕方ありません。しかし、その支出のために無理して働くと失ってしまうことがたくさんあります。時間的に余裕がなくなれば、心にも余裕がなくなり、夫への不満が募ったり、子どもに感情的になったりすることも多くなります。
育児で大変な時は、無理のない範囲で働くことをおすすめします。そうすれば、時間と心にゆとりが生まれ、家計にも気を配ることができます。お金の管理がしっかりできれば、払わなくてもいい支出が意外と多いことに気がつきます。
家族がいることは、何事にも代えがたい幸せなことです。仕事のために家庭がギスギスし、自分の心身を傷付けてしまっては元も子もありません。
少し立ち止まって、現状の仕事や家計と向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。
~ライタープロフィール~
【高梨子あやの】ナースLab認定ライター
北海道在住、シングルマザー。産休中に2級FP技能士、AFPの資格取得。看護師11年は主に小児科、予防接種外来、母子相談支援に関わる。長男が1歳の時、ワンオペ育児と過重労働で抑うつ&ネグレクトを経験し、看護師・ママのWLBを整えるために働き方を変えていきたいそんな想いでFPとして発信中。家計と副業相談、セミナー講師、ライター、Instagramマーケター、ナースLab運営、働くママの離婚準備情報を発信するなどして活動している。
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