オーストラリアで看護師として働いて4年目。海外の新人ナースと一緒に働く中、日本の新人ナースとの大きな違いを発見しました。今回は驚きの海外新人あるあるをご紹介します。
目次
1. 新人ナースが中途採用?1年に2か所?
新卒の採用は一年に何回もあります。病院によって違いますが、私の勤務先では1年に2回新人の採用があります。
例えば、大学卒業後、半年ほど他のことをしてから仕事を始めることができます。
今の時期に新人?と思うことがありましたが、一年の中で何度か新人を受け入れる時期があります。通常では半年ごとに各病棟に配属され、計2箇所の専門分野で経験を積むことができます。例えば、最初の半年間は整形外科、後半は救急外来など、多様な分野を経験することができます。
2. プリセプター制度がない!?
日本では当たり前の「プリセプター制度」。私の職場では病棟専任の教育係がプリセプターのような役割を果たします。教育係は患者を受け持ちません。その役割はスタッフの教育に従事します。
私が日本で新人だった頃、8年目くらいの先輩からプリセプターとして指導を受けました。勤務が同じになるたびに話しかけてくれたり、サポートをしてくれたりした経験があるので、「プリセプター制度があればいいのに」と思うときがあります。しかし、病院によってはプリセプター制度があるようなので、働く場所によってまちまちです。
3. 新人が仕上がっている
オーストラリアでは新人プログラムという制度があります。万全な教育はもちろんサポート体制がとても充実しているので、人気があり競争率がとても高いです。
そもそも看護師資格を取った全ての人が新卒プログラムに入れるわけではありません。このプログラムに入れなかった場合、派遣に登録します。もしくは老人介護施設で働くという人が多くいます。そのなかでも、激しい倍率をくぐり抜けてきた新人たちは成績優秀で看護アセスメント能力が高いです。すでに一人前の看護師として、基本的な技術や知識を持ち合わせています。
看護学生のうちに、注射や点滴の手技は実習中に覚えるので就職してから私たち病棟スタッフが教える必要がありません。もちろん、専門分野については初心者なので教える必要があります。
4. 新人教育体制
毎週一回は新人看護師向けの勉強会が企画されます。指導者はその分野の専門看護師なので深く学ぶことができます。技術チェックリストはありますが、日本のようなラダー制度はなく、2年目以降は毎年自己成長のためのミーティングを行い、目標を目指しながら個々のプランに沿って進めていきます。
日本のラダーは年数ごとである程度学習目標が決まっていますが、オーストラリアでは学びたい人が学べる環境になっています。そうでない人は最低限、看護師登録を維持するために時間数だけ勉強する人もいます。
5. 新人に見えない
すでに率先力がある新人ナースは自信に満ち溢れているので新人らしさはあまり見られません。
オーストラリアでは、4人に1人は海外出身ということが珍しくなく、多様な国籍・人種が集まっています。年齢も日本のようにほとんどが大学卒業したばかりの20代前半という方が珍しく、自分よりもかなり年上の新人看護師と一緒に働くことが少なくありません。年上の新人は看護の勉強をする前に、社会人経験があることが多いので、逆に私が学ぶことが多くあります。
海外では看護師は信頼できる職種として認識されています。そのため、別の仕事を経験してから看護師の資格を取る人が少なくありません。
6. 時間で終わることに罪悪感なし
新人でもベテランでも勤務時間に違いはありません。新人だからといって早めに出勤したり、残業したりすることがないのです。終了時間になれば、仕事が残っていても残業はしません。
日本での新人時代は「自分の仕事だから…」といって残業することが多くありましたが海外では求められていません。それよりも自分の勤務時間内に仕事を終えることができることは、タイムマネジメント能力があるとみなされるので、規程の時間以上残ることがないのです。
例えば、新人が学びたい処置があり、それが時間外の場合は「じゃあまた今度ね」となるので、残業してまで学びたいという人はほとんどいません。
看護師に限らずオーストラリアの働き方は自分の生活や家族を大切にするので、仕事の時間が終わったらすぐに帰ります。
7.番外編:新人ではないけど
私自身は既卒としてオーストラリアの公立病院に就職しました。しかし、日本とオーストラリアの医療システムや看護アセスメントの違いなど、就職したての頃は慣れるのに必死でした。
そんな中、教育係から新人用の勉強会に出てみる?と言われ、何回か参加させてもらいとても役立ったのを覚えています。テーマは毎回異なり、「緊急時の対応」「呼吸の管理」「糖尿病の管理」など、どの専門分野にいても使える知識・技術を勉強することができました。
新人ではなくても、その職場で新しく入った場合は新卒用の勉強会やコースに入れてもらうと自分の古い知識・技術がアップデートできるのでオススメです。
8. まとめ
日本と海外の新卒看護師の違いをご紹介しました。今後は日本も海外出身の看護師が増えていくといわれています。
はじめはいろんな違いに戸惑うかもしれませんが、お互い良い部分を取り入れた看護が提供できたらいいですね。
~ライタープロフィール~
【Nozomi】ナースLab認定ライター
群馬県出身。日豪で正看護師資格を持つ。日本では総合病院で3年働き、夢である海外で看護師になるためオーストラリアへ留学。初心者レベルから英語を始めて留学から3年半後に看護師登録が完了。現在はシドニー の公立病院で働きながら、自身の経験を活かし看護師のための留学サポートも行っている。今年は大学院にも通い始めて、がん看護のクリニカルナーススペシャリストを目指す。アンフェミエコラム読者の方にもぜひ海外留学に挑戦してほしいです。
URL:http://nozomikodaira.com