感染管理認定看護師が伝える働き方
~キャリアアップという選択~

ナースライター 中島みゆき
ナースライター 中島みゆき
感染管理認定看護師が伝える働き方~キャリアアップという選択~

「特定分野のスペシャリストを目指したいー」。


2019年12月、全国の認定看護師登録者数は21,048名。
なかでも感染管理認定看護師は新型コロナウイルスの影響もあり、その役割は多く求められるようになっています。


部署の枠を超えて病院全体へのアプローチはもちろん、患者さんやその家族、病院に関わるすべての人を感染から守るという重要なポジションを担っています。


今回は、感染管理認定看護師として7年間働いてきた体験談とともにその魅力をご紹介します。


1. 私が感染管理認定看護師を選んだ背景

私が感染管理認定看護師を選んだ背景

「得意な分野を活かした看護がしたい」


そんな漠然とした想いからキャリアアップを考え、認定看護師を目指しました。


この場合、認定看護師と専門看護師がありますが、専門看護師のように学問として看護学を深めるのではなく、実践が中心の活動がしたかったため認定看護師を選びました。


資格取得までの教育にかかる期間は、専門看護師は約2年間に対して、認定看護師は約6か月と短くなります。しかも同職場に所属したまま取得できるので、迷いはありませんでした。


また、21分野ある認定看護師の中で感染管理を選んだのは、個別のケアということより、病院全体的に働きかけて活動できることに興味があったからです。



2. ゼロからのスタート!仕事の基盤を作る。(1~3年目)

資格取得後、すぐ思い通りに働けるというわけではありません。通常業務を行いながら認定看護師の活動も行います。


多忙な業務のなか時間を確保すること。そして、結果に結びつけていかなければならないという課題を抱えながらゼロからスタート。はじめてぶつかった大きな壁は新型インフルエンザの対応でした。


海外で発生した新型インフルエンザに対して、連日の報道、空港での入国検査、感染疑いの対応など、責任ある仕事が一気に舞い込みました。


以前から感染対策に従事していた医師、看護師に助けられながら、必死に取り組む日々。現在流行している新型コロナウイルスのように長期的な発生ではなく、数か月で収束しましたが、その時の経験が大きく自分の意識を変えました。感染で何かあったら自分がまず動かなければならない。そのことが刻まれた1年目でした。


その後、診療報酬の改定などもあり、専従という立場で感染管理を行います。そのため、部署への所属ではなく、看護部直属となり、院内の感染対策の中心として活動する役割を与えられました。



3. 感染対策の中心へ。目標へ向かい猪突猛進。(4~7年目)

感染対策の中心へ。目標へ向かい猪突猛進。(4~7年目)

感染管理認定看護師の役割は、患者さん、職員など病院に関わる人を感染から守る事です。


多くの病院では、感染対策チームを多職種で構成し、チームで活動することが多くみられます。


感染管理認定看護師は、そのチームの中心として行動します。
年度ごとの活動計画書を作成し、感染管理認定看護師の役割に沿った到達目標を看護部に提出し活動の軸としていました。


4年目以降になると年間の流れなども見えてくるため、年間計画などを立てやすくなってきます。


院内では、看護部の感染委員会を中心とした、感染対策の整備、教育、感染発生時の対応などを中心に活動しました。


また、施設外での仕事も増えてきます。


学会や研修会などでの発表、看護協会の委員としての活動です。


病院全体の感染対策を担っていたので、外部監査で感染対策についてなどの質問に対応することもありました。


このような機会は、自施設を客観的に見ることに繋がり必要な対策がより鮮明になっていきました。



4. 感染管理認定看護師として働くメリット

感染管理認定看護師として働くメリット

時間とお金をかけて取った資格。スキルアップという一面だけでなく、自分の視野も広がっていきました。


①病院内で顔が広くなる。

⇒感染対策は、病院に関わる全ての人を対象とします。そのため、普段関わらないような部署の方とも協力する必要があります。例えば、事務部門や各科医師、清掃やリネン業者の方々などです。院内で顔が広くなり、ちょっとした有名人になります。


②施設以外の看護師との交流。

⇒感染管理認定看護師として、院外の研修会や会議へ出席することが増えました。その内容は看護協会の委員、病院関連の会議、感染関連の研修会の発表や手伝いなどです。その際に、他施設の認定看護師と交流することで刺激をもらいました。他の施設で活躍する仲間の姿は、とても心強い存在でした。


③学会や研修会への参加。

⇒最新の知識を得たり、学びを深めたり、自己研鑽は必要です。そのため、学会や研修会に参加しますが、施設のサポート(業務や金銭面など)が場合によっては受けられます。


④プレゼン力が身につく。

⇒院内外問わず、研修、セミナーなど院内外での講義などの機会が増え発表する力がつきます。


⑤認定看護師の給与

⇒これはメリットかデメリットかとは言えませんが、施設により認定看護師に手当が支給されている場合もあります。私の場合、給与としての手当はありませんでしたが、年に1回の関連学会について金銭的なサポートがありました。



5. 感染管理認定看護師として働くデメリット

資格を維持するためには、知識や技術のアップデートが必要です。認定看護師として役割を果たしていくために、次のようなことが挙げられます。


①5年ごとに認定資格の更新がある。

⇒更新のための実績、研修会や学会参加などによるポイントの取得は必須です。資格更新には審査や資料の提出が必要な上で、お金もかかります。そのためにも日々の学びを深め、自己研鑽し続けることが大切です。


②データが命。

⇒感染管理は病院全体に働きかけることが多く、理由をデータで示し、アピールしていく必要があります。これは、感染管理に限らずどの認定でも言えることです。


③やりがいについてくる責任。

⇒「こんな時どうしたらいい?」という相談を投げかけられます。その時に対応していくことで信頼を得て、自分の腕も上がっていきます。


④緊急時の対応を求められることも。

⇒感染症はいつ発生するかわかりません。そのため、感染対策が急を要する場合は、中心となり対策に取り組む場合があります。休日などの相談や対応も場合によっては必要となります。



6. まとめ

認定看護師は、大変な側面もあります。でもそれ以上に、自分の得意な分野に積極的にかかわれるという利点もあります。


どんな看護師になりたいか、それに尽きます。やりたいことの先に認定看護師が浮かんだら、ぜひ一歩踏み出してみてください。


追記

2020年より認定看護師制度が一部変更になります。


認定の教育課程に特定行為研修が組み込まれた教育を受けることも可能になり、求められる役割が大きくなってきたと感じています。
詳細は看護協会のホームページなどからご確認ください。


~ライタープロフィール~

【中島 みゆき(なかじま みゆき)】ナースLab認定ライター
歌唱力ゼロ、看護師ライター。
1977年生まれ。福島県出身。2016年より東京在住。看護師歴21年。総合病院にて、消化器外科・呼吸器外科、手術室勤務。その後、感染管理認定看護師を取得し感染管理業務に7年間従事。38歳で結婚し夫の転勤にて退職。その後、転職、出産、育児を経験。看護師、母親、妻など自分のキャリアを生かした働き方を模索中。趣味は片づけ、読書。


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