成人の5人に1人は睡眠不足といわれている日本。なかでも女性の睡眠時間の短さは世界的に見てもトップクラスだとか。とくにナースは不規則な勤務によって慢性的な睡眠不足になりがちです。そんなお悩みを抱えるナースの皆さんに今回は睡眠についてとことんご紹介していきます。
1:睡眠は量より質?
一般的に理想の睡眠時間は7時間といわれています。しかし、睡眠時間と同じくらい大切なのが“質”です。睡眠時間が足りていても良い睡眠とは限りません。睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という周期があります。レム睡眠は、体は深く眠っていますが脳はやや覚醒状態に近いので、この時に目覚めるとすっきり起きられます。一方、ノンレム睡眠は入眠の直後にあらわれ、脳の休息とストレスを取り除いているといわれています。また、成長ホルモンの分泌が盛んになるのもノンレム睡眠です。成長ホルモンと聞くと“身長を伸ばすホルモン”と思いがちですが、皮膚や筋肉、骨などを成長させたり、傷ついた筋肉や内臓などを修復させたりする働きがあります。このような2種類の睡眠周期が約90分おきに3~5回繰り返されることで、疲労した脳と体を回復させ目覚めの良い朝を迎えます。
2:睡眠を促す入浴法
睡眠中は体の内部の温度「深部体温※」が下がることで、ぐっすりとした睡眠が得られるといわれています。深部体温を下げるためには、事前に上げることが必要です。リラックスした状態が血流を促すので、ストレッチやアロマなども取り入れながら入浴を楽しんでみるのもおすすめです。また、熱いお湯はかえって目を覚ましてしまうので、入眠前の1~2時間前にぬるめのお湯(40℃前後)に10分以上ゆっくり浸かります。入眠の直前に入浴してしまうと、深部体温が高いまま眠ることになるので、寝つきが悪くなることがあります。深部体温が下がっていく時間を確保しましょう。
※体温は部位によって違いがあり、大きく分けると核温(深部体温)と体表温(末梢温)の2つがあります。深部体温は内臓などの体温で、鼓膜温,直腸温,膀胱温,血液温などをいいます。
3:睡眠に最適な環境づくり
睡眠の環境を整えるには、まず「光」「音」「におい」「温度」がポイントになります。入眠中の光は脳を活性化します。そのため、なるべく光を遮断し真っ暗な部屋で刺激の少ない環境で眠ります。音も同様で使用方法によっては睡眠を妨害します。よくヒーリング系の音楽など、入眠におすすめの曲がありますが入眠後は音が刺激となり、覚醒の原因になります。入眠の導入程度とし、タイマーなどをかけてスイッチを切れるようにしておきましょう。においについてはアロマを試してみてはいかがでしょう。なかでもリラックス効果の高いラベンダーやカモミールがおすすめです。お気に入りのアロマに癒されながら眠りにつくのも楽しみの一つになるかもしれません。温度ですが、季節によって違いがあります。夏は約25℃~26℃、冬は約22℃~23℃、湿度はそれぞれ50%~60%が過ごしやすいとされています。快適な眠りを得るためにも、まずは環境を整えておくことが大切です。
4:朝の日光がその日を決める!?
パソコンやスマホからのブルーライトをご存じでしょうか?このライトを見ることで覚醒し、睡眠を促すためのメラトニンというホルモンの分泌が抑制されます。メラトニンは睡眠、覚醒リズムにかかわるホルモンです。脳内の松果体から分泌され、朝の日光を浴びると体内時計がリセットされ、目を覚ますといわれています。その後、14時間~16時間が経過すると再びメラトニンが分泌され眠気を感じるようになります。たとえば朝7時に起床した場合、メラトニンの分泌は夜11時頃になるので、この時間に眠るとスムーズな入眠につながります。 そのため、朝の日光を浴びた時間がその日の眠りの時間を決めます。また、夜の過ごし方も重要です。夜になるとメラトニンの分泌量が増え、自然と眠気を感じます。そのままの睡眠につながることが大切なので、眠る2~3時間前には室内の照明を少し暗めに設定するか、間接照明に切り替えます。就寝前はなるべくテレビやパソコン、スマホを控えて良い睡眠につなげましょう。
5:まとめ
人生の3分の1は睡眠といわれています。不規則な勤務が多いナースだからこそ、短くても質の良い睡眠が得られるようにしたいですね。自分の健康を守るためにも、ぜひ今日から実践してみてください。
~ライタープロフィール~
【マヤ】ナースLab認定ライター
群馬県在住。看護師として働きながら、フリーライター、カメラマン、看護大学教員、介護講師、メディカルマーケティング、看護師ライター育成事業など、幅広く活動中。また、3人の子育て中に転職、復職経験をきっかけに女性のワークライフバランスや新たな働き方について講演、スピーチなどを行う。著書5冊、3児の母。
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