入職してもうすぐ半年。
最初は意気揚々と挑んだナース1年目、社会人という新しい居場所。けれど思うようにできなかったり、失敗が続いたりすると、やっていく自信がなくなっていってしまうものです。
そんな時、自分のことをケアできなくて病院を辞めてしまったり、心を病んでしまったりする人もいるかと思います。
今日は、まさに人生の危機に陥っている人たちに、自分の心を守るセルフメンタルケア術をお伝えしたいと思います。
1.行動活性化
これは、認知行動療法の理論の一つです。なんでもいいから行動してみよう!というものです。
例えば、あなたが気分よく過ごしたい、と思うとします。その時に、あなた自身が「気分よく」なるための行動をたくさん考えてみてください。
気分の変化が大きいものもあれば、本当に微かな変化が生じるものもあると思います。伸びをしてみたり、外の景色をながめてみたりするだけでも、わずかな変化があるので、そういったことをぜひ書き出してみてください。
それを順番にやっていくだけで、必ずあなたは「気分よく」なっていくはずです!
これはうつ病の治療でも使われている療法です。
おすすめは「すぐにできること」「数時間かかるもの」「1日かかるもの」など、カテゴリ別に分けておくこと。その時々に合わせた行動活性化が行えます!
2.できたことノート
これは、やったこと、できたことだけをノートに書き込んでいくというものです。
心が疲れている人は、とにかくネガティブになりがちで、ますます自分のできていないところに意識が向いてしまいます。
そんな時こそ、できているところに目を向けてあげてください。書き出すことできっと「今日も自分はがんばれたな」と思えるはずです。
「書けることなんてない!」と思っている人は、ばからしく感じてもいいので「できた」のハードルを下げることをおすすめします。
私は「朝、時間通りに起きられた」「面倒くさくてもシャワーを浴びられた」だけでも「さすが自分!」と褒めたたえていますよ!
3.未完了リスト
これは「やりたくてもできていないこと」を書き出し、一つずつ行っていく方法です。
「やりたくてもできていないこと」は、あなたが欲しているニーズそのものです。眠りたい、おいしいものを食べたいなどの生理的欲求からはじまり、褒めてほしい、話を聞いてほしいなどの承認欲求など様々なものがあると思います。
あなた自身の欲求を満たしてあげれば、心もどんどんと栄養をもらい癒されていきます!
慣れてきたら「やらなければならないけど避けていること」を書き出していってください。これができると、信じられないほどすっきりして自己肯定感が上がります!
4.系統的脱感作療法
これは、怖いもの、不安なことなどに立ち向かう時に有効な手法です。
どうしても関わりたくない先輩がいる。けれど、仕事を辞めるのは難しい。そんな時にぜひ試してほしいと思います。
系統的脱感作療法は「嫌なものに少しずつ心を慣らしていく」という手法になります。
例えば人前に出るのが苦手な人がいます。その人にいきなり「1,000人の観客がいる前でスピーチをしろ!」と言っても無理に決まっています。そんな人には、まずは「家族の前で今日起こったことを話す」だったり、そもそも「誰かに話したいことをノートに書き出してみる」といったことからはじめてみてほしいのです。
ハードルが低いところから徐々に心を慣らして、乗り越えていってほしいと思います。
5.マインドフルネス瞑想
瞑想と聞くと怪しい雰囲気があると思いますが、これは全世界で認められ活用されているものです。
別の表現だと、聞きなれた言葉である「ヨガ」や「禅」も瞑想の一種です。
これは「今自分に起こっていること」を感じてもらうということです。
例えば、呼吸している時の空気の流れや、肺の膨らみ、それにともなう胸郭の動きなど、たった今起こっていることに意識を向けることで、不安や恐怖から少しだけ心を離していく、そんな手法です。
おすすめは呼吸瞑想です。ゆっくり呼吸の回数を数えながら、身体で起こっていることを感じてみてください!
まとめ
できそうなものはありましたか?
どれも、簡単にも関わらず絶大な効果を発揮してくれるものばかりです!
一見ばからしくみえることでも、継続して取り組んでもらうことで、あなたの心は必ず癒され軽くなっていきます。自分の心をコントールしていく感覚をぜひ味わってみてください!
ライタープロフィール
【秋元 伸平(くるまじ)】看護師 コーチ セミナー講師
1985年生まれ。神奈川県出身。東大病院で管理職をする傍らコーチングに目覚め、今はコーチ、セミナー講師として独立。2022年4月には日本メディカルコーチコミュニケーター協会の代表理事に就任。「医療者全てが自己実現できる社会」を作るべく邁進中。プロの小説家、フォトグラファーとしても活動中。