1.看護学位がカギ!
看護学位のあるなしで、登録方法に違いがあります。オーストラリアの看護教育は全て大学教育になります。海外出身の看護師は、同程度の教育基準を満たす必要があります。
1)日本で大卒ではない場合
看護短大や専門学校卒では、学位がないので大学に行く必要があります。オーストラリアの看護大学は3年制なので、2年次に編入して2年間大学に行く、もしくは、3年間行く必要があります。必要な年数については、日本で卒業した学校のシラバスなどを確認して決まります。学費は年間200万~250万円ほどかかるので、かなり高額です。ちなみに、入学時に必要な英語力はIELTS (アイエルツ)6.5~7.0です。
2)看護師としての臨床経験は?
オーストラリア看護師登録機関であるAHPRA ( Australian Health Practitioners Regulation Agency) は、自国での経験年数を過去5年以内、450時間以上としています。450時間ですが、大体フルタイムで働くと3ヶ月程度になります。この場合、新人1年目が終わってからすぐオーストラリアに行くことは可能ですが、できれば最低3年は臨床経験をおすすめします。私も日本の総合病院の整形・外科・腫瘍内科の混合病棟で働いたので、その経験が役立っています。
2.海外で働くための英語

まずは、AHPRAが求めている英語試験に合格しなければなりません。主に4種類のテストがありますが、下記の通りになります。
- ● IELTS (アイエルツ)アカデミック:
世界中で求められている英語テストです。主に大学への進学に使われる試験。4科目で構成されます。日本でも最近、多くの都市部で受験できます。看護師登録に必要なスコアは4科目平均が 7.0 以上 です。 - ● OET:
Occupational English Testの略で医療従事者向けの英語テストです。リスニング、リーディングは共通ですが、ライティング・スピーキングは職種別に異なります。例えば看護師の場合は、ライティング退院サマリーを書いたりします。必要スコアは4科目それぞれB以上です。 - ● PTE:
比較的新しいテストでコンピューター形式のテストです。結果が5日以内に出るなど、他のテストよりも受けやすいため受験者が増えています。必要スコアはアカデミック スコア65 以上 です。 - ● TOEFL iBT:
TOEFL(トーフル)は日本でもお馴染みの英語テストで、英語圏の大学入学などに使用されています。4科目で構成され、日本でも受験が可能です。必要スコア94 以上です。
私の場合、医療英語を勉強したかったのでOETを選択しました。最初はIELTSを勉強していたのでIELTSでスコアが取れたらいいなと思っていましたが、6.5から7.0へなかなか伸びなかったので途中でOETに切り替えました。OET準備コースに半年間通い、1回目の受験で目標スコアを達成することができました。
3.3つの条件をクリアしたら登録申請

英語試験に合格したらすぐに申請できるよう、必要な書類を準備しておきましょう。書類は主に、日本で働いていた英文の職務履歴書、大学の英文の卒業証明書・成績証明書・英訳したシラバス、厚生労働省からの英文の書類3種類です。特に厚生労働省は、書類の発行に最低1ヶ月はかかります。申請の時期に合わせて早めに請求します。申請後はメールでの結果待ちになります。(約3~6ヶ月かかります)
4.短期の研修プログラムへ
日本人看護師の多くは申請後、研修プログラム(通称ブリッジングプログラム)を受けます。私が受けたプログラムでは、約3ヶ月間で5週間の講義と6週間の急性期病院実習でした。講義では、オーストラリアの医療システム、原住民のアボリジニへの医療福祉サービス、投薬の方法、基礎看護技術などを学びます。実習では、病棟の看護師とペアになって患者を持ち、監視下のもと投薬や看護ケアの提供、記録などを行い、実地試験に合格する必要があります。(このプログラムは2020年から変更予定です)
プログラム修了後は、修了証を受け取りそのままAHPRAに送ります。その後、約1ヶ月でオーストラリアの看護師として登録が完了します。私はこの登録完了のメールを受け取った時、「あ~やっと夢が叶った」と安堵しました。
5.まとめ
海外で働くためには、なんといっても英語力です。勉強は海外留学後に始めるのではなく、日本にいる時から始めることをお勧めします。中級程度の英語力があれば、留学後の学費が初心者と比べて安く済みますよ。海外で看護師になりたいという方はぜひチャレンジしてくださいね。
~ライタープロフィール~
【Nozomi】ナースLab認定ライター
群馬県出身。日豪で正看護師資格を持つ。日本では総合病院で3年働き、夢である海外で看護師になるためオーストラリアへ留学。初心者レベルから英語を始めて留学から3年半後に看護師登録が完了。現在はシドニー の公立病院で働きながら、自身の経験を活かし看護師のための留学サポートも行っている。今年は大学院にも通い始めて、がん看護のクリニカルナーススペシャリストを目指す。アンフェミエコラム読者の方にもぜひ海外留学に挑戦してほしいです。