1. 挨拶と笑顔で第一印象アップ
第一印象は、その後の人間関係を大きく左右します。まずは、明るく元気な挨拶と笑顔を心がけましょう。積極的に挨拶することは基本中の基本ではありますが、意外とできない人がいるのも事実です。しかし「明るく」「元気に」を意識すれば、練習しなくてもすぐに誰でも実践できます。出勤時や退勤時はもちろん、廊下ですれ違ったときや他の部署の方と会ったときも「おはようございます」「お疲れ様です」「よろしくお願いします」など、基本的な挨拶はしっかり交わしましょう。
武道の世界には「礼に始まり礼に終わる」という言葉があります。これは相手なくしては成り立たないことから、相手を敬う意味が込められています。看護も同様です。自分が実践する看護は患者さんをはじめ、指導してくれる先輩や支え合う周囲の仲間とともに成り立っていることを忘れず、感謝の気持ちをこめて挨拶しましょう。
また、笑顔は最高のコミュニケーションツールです。笑顔には、相手に安心感や親近感を与える効果があります。緊張しているときこそ、意識して笑顔を心がけると良いでしょう。
2. 報告・連絡・相談が信頼関係構築の鍵

看護の現場では患者さんの生命に影響を及ぼしかねない判断やケアがあるため、正確な情報共有が必要不可欠です。そのため「こまめな報告・連絡・相談」は、周囲との信頼関係を築く上で重要なスキルといえます。報告・連絡・相談がこまめにできれば、先輩や周囲の人は新人さんに任せても大丈夫かどうか判断しやすくなるでしょう。では、どのような報告・連絡・相談が良いのでしょうか。報告・連絡・相談のポイントを3つ解説します。
・結論から伝える
特に相談の場面では「結論を最初に伝える」ことを意識してみましょう。なぜなら先輩や周囲の人も、他の業務などを抱えた中で「今すぐ対応すべき」かどうかを判断しながら、相談を聞いているからです。具体的な例をあげてみましょう。「Aさんの体温が38度を超えています。本人は寒いと言っていますが、クーリングは必要ですか?」と相談すると、相談者が観察してきたこと、相談者自身が判断に迷っていることが理解できます。
・報告は迅速かつ正確に
患者さんの状態変化や業務の進捗状況は速やかに報告しましょう。新人さんにとって、忙しそうにしている先輩に報告や連絡することは、とても勇気のいることだと思います。しかし、その報告・連絡・相談が遅れると患者さんの状態に影響を与える可能性もあります。例えば、あなたは先輩から「Bさんの血糖を測定して、記録しておくように」と指示を受けたとします。指示通りBさんの血糖を測定したら、血糖値は300mg/dlでした。もしあなたが指示通り測定し、記録するだけだとBさんの高血糖は放置されてしまいます。しかしあなたが血糖値の正常値を把握できていなくても、血糖を測定した事実とその結果だけでも先輩に伝え、その後記録に残す、という優先順位で行動していればBさんの高血糖状態により早く対処できるのです。慣れない業務中だからこそ、迅速で正確な報告を意識することが大切です。
・連絡は密に、相談は早めに
業務の変更や遅延など、関係者に影響がある場合は早めに連絡しましょう。想像してみてください。医師が「Cさんの中心静脈カテーテルは午後に挿入します」と担当のあなたに伝えてきたとします。中心静脈カテーテルの挿入介助はまだ1人ではできません。この場合、先輩に「Cさんの中心静脈カテーテルを午後に挿入することになった」と早めに相談しておかないと、先輩の午後のスケジュール調整が難しくなるかもしれません。その場合に、指導してくれる先輩だけでなく、担当医や患者さんにまで支障をきたすことが予測されます。看護は個人ではなくチームで実践するもの。先輩や周囲の人たちは自分の業務調整に加え、他のスタッフとの業務調整の必要性などを考慮して動いています。協力を必要とする場合や、困ったことやわからないことがある場合は「忙しそうだからあとでいいか……」ではなく、早めに相談することが効果的です。
3. 相手の話は最後まで聞き、感謝の気持ちを伝える
人はきちんと話を聞いてくれる人には「また話したい」と無意識に思います。同様に「教えたい」と先輩や周囲の人に思われるかどうかも、新人さんにとってはポイントです。あなたに教えてくれる先輩や周囲の人も、感情を伴う人間です。「新人だから教えてもらって当然」と考える新人さんより、熱心にメモをとったり、うなずいたりして聞いている新人さんのほうが「頑張って知ろうとしているな」「教え甲斐があるな」と思うはず。つまり、相手の話をきちんと聞いて、先輩や周囲の人に「もっと教えてあげたい」と思われたらこっちのもの。相手の話を遮らず、最後まで聞くように心がけましょう。
さらに相手の目を見て、相槌を打ちながら聞くことで、真剣に聞いていることが伝わります。そして、何かしてもらったときや助けてもらったときは、必ず感謝の気持ちとして「ありがとうございます」を伝えてください。感謝の気持ちを伝えることで、さらに「また教えてあげたい」という心理に繋がります。しかし、感情の伴わない「ありがとうございます」は、相手の気持ちを逆なでするかもしれません。敬意を持って伝えていきましょう。

まとめ
新人看護師のみなさん、いかがでしたでしょうか?コミュニケーションは、日々の積み重ねが大切です。今回ご紹介した3つのポイントを参考に、積極的にコミュニケーションを取り、素敵な人間関係を築いてください。みなさんがこれらのポイントを意識し、現場で輝いて看護を提供する未来を応援しています!
~ライタープロフィール~
【ほっしー】ナースLab認定ライター
看護師歴20年以上。国立系大学病院にはじまり、総合病院、民間中小規模病院、訪問看護とさまざまな医療機能の病院などでの勤務歴あり。
現在看護師をしながら、Instagramでの発信活動と、看護師ライターとしても活動中。
看護師による看護師のためのwebメディア「ナースの人生アレンジ」