医療従事者は、勤務時間が変則的なことも多く、規則的な生活を送ることが難しい場合もあります。また、近年は自粛生活が続くことで先行の見えない不安や緊張から、知らない間にストレスを溜め込んでしまっている人も少なくないはずです。不規則な生活やストレスは、免疫機能を低下させる要因となります。感染症に負けないためにも、日常生活の中で取り入れやすい、免疫機能の低下を防ぐ工夫についてご紹介していきます。
1.腸内細菌を増やす!食事の工夫
免疫系細胞の多くは腸内の粘膜に集中しています。この細胞を活性化させるのは腸内細菌であり、腸内細菌の種類と数を増やすことで免疫力を高めることができると考えられています。そのためには、普段の食事を見直してみましょう。腸内細菌の餌である穀類や野菜類、豆類、果物類などを積極的に摂取することをオススメします。また、腸内細菌を増やすといわれている発酵食品も良いでしょう。キムチや納豆、果物やヨーグルトなどは手軽に準備できるので、食事に取り入れやすいと思います。私はよく、カットして売られている野菜にナッツ類や大麦をかけて食べています。忙しい時や簡単に料理したい日は、そういった便利な商品を上手に利用すると良いかもしれません。
2.ひと口30回!よく噛むことで唾液の分泌量UP
唾液には、口腔内に侵入した細菌の活動を抑える抗菌作用があるといわれています。また、抗酸化作用もあり、免疫機能を障害する活性酸素を減少させるといった報告もあります。そんな免疫力を高める重要な役割を担う唾液の分泌量を増やす効果的な方法は「噛む」ことです。一口30回程度ゆっくり噛むことが良いとされています。しかし、ルールを設けて回数ばかり気にしてしまうと、ストレスになってしまう場合もあるかもしれません。そういう時は、自然と咀嚼回数が増えるように、料理の食材を大きめに切ったり、野菜の茹で時間を短めにしたり工夫すると良いでしょう。根菜類など硬さがある食品を食事に取り入れることもオススメです。
また、唾液はストレスなど、さまざまな理由で分泌量が減少します。口腔内が乾燥しないためにも水分補給は忘れずに、唾液の分泌を促すには唾液腺マッサージも効果的です。
3.適度な運動でNK細胞を活性化!
免疫力を司るものの一つであるNK細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスを発見して攻撃する働きを持っています。このNK細胞は適度な運動で活性化されることが分かっています。激しい運動は一時的にNK細胞が活性化されますが、その後は大きく低下してしまいます。そのため、激しい運動は避けて適度な運動を心がけましょう。1回30分程度の息が弾むくらいの有酸素運動(ウォーキングやエアロバイクなど)に加え、筋力トレーニングを行うとより効果的。週に2~5回のペースで行うと良いでしょう。
私は、夜勤明けに睡眠不足の状態でランニングをして風邪を引いてしまった経験があります。無理はせずに体が元気な状態で運動するべきですね。コツコツと続けることができそうなペースで、自分に合った運動を見つけることが大切です。私は、歯磨き中やテレビを見ながらスクワットなどの筋トレをしたり、動画を見ながらダンスやヨガをしたり、ゲームで体を動かしたり、楽しみながら運動することで無理なく継続しています。
4.プラスのイメージや笑いを大切にする
NK細胞はメンタルの影響を受けやすいことが分かっています。笑ったとき、感情の変化が脳に伝わり、善玉ペプチドが分泌されるそうです。この善玉ペプチドが血液やリンパ球を通じて全身に流れ、NK細胞を活性化させます。ちなみに、作り笑いをして微笑むだけでもNK細胞が活性化したという実験結果も報告されています。よく笑い、好き・楽しいといったプラスのイメージをすることが大切です。
多忙な医療現場で、プラスの感情や笑顔になれない状況のときも多々ありますよね。暗い気持ちを抱え続けてしまうこともあります。そんな状況のときこそ、マスクの下で笑顔をつくり、気持ちを切り替え、好きなこと、楽しいことを思い浮かべるなどして、自分自身の心の健康、免疫機能を守っていきたいですね。
まとめ
免疫機能低下を防ぐため、日常生活の中で取り入れたいものはあったでしょうか?
気をつけて生活していても風邪を引いたり、病気になったりすることはあります。けれど、自分の心と体の健康を守れるのは自分だけです。不規則な生活で、ストレスを抱えやすい人こそ、ぜひ実践してみて下さい。
~ライタープロフィール~
【凛(Rin)】ナースLab認定ライター
看護師10年目。現在は、肢体不自由などの障害を抱える小児の看護や、健康相談業務に携わっている。がん看護、緩和ケア、施設看護、訪問看護などの経験あり。
保有資格は、看護師免許、保健師免許、養護教諭第Ⅰ種免許。
医療ライター歴2年目。情報が溢れている今だからこそ、看護師だからできるライティングを通して、1人でも多くの人に笑顔と安心を届けたいと思い、医療や看護・教育などの分野で執筆活動中。
Twitter:http://twitter.com/writer_ns_rin