看護師あるある 救命救急センター編

ナースライター 谷口由紀子
ナースライター 谷口由紀子
看護師あるある 救命救急センター編

救命救急センターといえば、緊急処置や手術が必要な患者さんが多く、常に緊張を強いられる部署です。患者さんの命を救うことはもちろんのこと、患者さんの家族に対しても配慮が必要とされます。迅速かつ正確な判断と行動に加えて、冷静さも重要であるため、自身のメンタルをコントロールする能力も求められます。今回は、誰もが一度は憧れる(?)救命救急センターにおける「あるある」をご紹介します。


1.ホットラインが鳴ると看護師はメモ魔に変身!

ホットラインとは、東京消防庁から救命救急センターに直接連絡が入る専用電話。
重症患者さんの搬送依頼の入電は医師が対応しますが、通常スピーカーホンなので、看護師の耳にも情報が入ってきます。そのため搬送の有無に関わらず、ホットラインが鳴ると同時に、看護師はメモを取り出し、患者さんの情報を一斉に書き始めるのです。
搬送が決定すると、情報を基に受け入れ準備が始まります。


2.勤務以外で急変場面に遭遇したら率先して救助へ

病院以外の場所や勤務日以外の日に、路上等で倒れている人を見かけた際は、たとえ一瞬躊躇したとしても、自然と救助に向かうことが多いかもしれません。一次救命処置(BLS)の手順に従って難なく対応できるのは、普段の業務のおかげ。いつでもどこでも自信をもって行動できるのも救命センター看護師の特技の1つです。


3.休日でも聞こえてくるアラーム音

休日でも聞こえてくるアラーム音

日頃の勤務で、アラーム音に対して素早く対応するように訓練されているせいか、休日、特に寝ている時に、心電図の波形音やモニター音の幻聴で目を覚ますことがよくあります。他にも、テレビから聞こえる救急車のサイレン音やホットラインの音に反応してしまうことも。勤務していなくても、身体はいつも仕事モードなのかもしれません。


4.ルート整理の達人に

搬送される患者さんの治療には、多くの薬剤を使います。そのため末梢ルートやCVカテーテルが挿入されたり、循環動態を観察するためのAラインが入っているので、ルートが複雑な状態で絡み合っています。多い時は10本以上になることも。投与する薬剤を間違えないようにすることと、家族が見て不快な気持ちにならないように、ルート類を整理することが大切です。循環動態が変化しないように、清潔操作で「素早く」「美しく」ルート整理することは、救命センター看護師ならではの技術です。


5.午前0時の汚物室は看護師で大混雑している

患者さんの24時間インアウトバランスを計算するために、23:50頃から看護師は排液の処理をし始めます。主に尿バッグや胃管カテーテル、ドレーンバッグの排液など、紙コップに移して汚物室に持っていきます。量を測ったりテステープで調べたりするため、午前0時ころの汚物室は、看護師でごった返しています。


6.心電図の波形を読みとるのが得意になる

心電図の波形を読みとるのが得意になる

重症患者さんが多い救命救急センター。循環動態が不安定なため、患者さんには心電図モニターが装着されています。特に心筋梗塞の患者さんの場合、治療後であっても再狭窄する可能性が高いため、モニター監視は必須です。そのため異常波形を目にする機会が多く、自然と心電図波形を解析する力が身につきます。経験の積み重ねから、心疾患以外の患者さんの異常波形にも素早く対応できるようになるのです。


7.何があっても動じなくなる

何があっても動じなくなる

救命救急センターに搬送される患者さんの中には、身体の損傷がはげしく、重篤なことがほとんど。はじめは直視できなかったり感情移入しすぎたりして看護ができないことがありました。しかし現場に慣れてくると次第に、少々のことではビクともしない強い精神力が身につきます。さらに優先順位を考えて必要な看護は何かを冷静に判断することが可能になります。


8.採血が苦手な看護師が意外と多い

重症患者さんの場合、Aラインが挿入されていることが多いので、看護師が穿刺して採血をすることはほぼありません。しかしまれに、患者さんの採血をすることがあるので、血管が細かったり見えづらかったりして、採血ができないなんてことも…。


まとめ

今回は救命救急センターの看護師の『あるある』についてご紹介しました。24時間365日、患者さんが搬送される救命救急センターでは、医師、看護師、コメディカルが一丸となって救命処置にあたらなければいけません。大変さの中にもやりがいがあり、肉体的にも精神的にも強い看護師に成長できる場でもあります。救命救急センターの看護師に興味をもっていただけると嬉しいです。


~ライタープロフィール~

【谷口由紀子】ナースLab認定ライター
看護師歴18年目。2児の母。都内大学病院で救命救急センター、循環器科、小児科、透析室、内視鏡室などを経験。子育てを中心とした働き方を模索した結果、2020年6月フリーランスへ転向。Webライターとディレクターを主軸としながら、派遣・単発で看護師としても働いている。6歳の息子が歩ける医療的ケア児。同じ境遇のご家族に対し、ブログを通して自身の子育て方法や医療的ケア児を取り巻く情報を発信している。

ブログ: https://nurse-yukiko.com/
Twitter: https://twitter.com/yu_taniguchi29
Instagram: https://www.instagram.com/ma.yu.yu.to


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